バスは、「ストラクチャーフィッシュ」と呼ばれる。ストラクチャーとは、本来、「地形の変化」という 意味だ。しかし、往々にして構造物という意味でも使われる。確かにバスには、構造物やカバーに身を寄せる習性がある。
バスにとって、所謂ストラクチャーとは何か? アメリカの本に、面白い実験結果があった。白い水槽にバスが数匹入っている。その中に小石を固めて入れると、彼らは、その付近に集まってくる。
ここまでは、素直に頷ける。そこで、今度は小石をなくして、その代わりに、水槽の壁面に黒い帯を縦に書いてみる。黒いテープを水槽の側面に縦に貼った感じだ。
そうするとどうだろう。バスたちは、その黒い帯の周りに集まってくる。この実験結果から判ることは何だろうか。「バスは、ストラクチャーに身を寄せる習性を持っている」 というよりも、「バスは、変化に身を寄せる習性を持っている」といえないだろうか。
何もないところであれば、たとえそれが立体的ではなくても、「ストラクチャーらしい」変化に身を寄せることで安心感を得られるようだ。これからも判るように、重要なのは「変化」だ。
変化の少ない場所であれば、たとえそれが木の影であったとしても、彼らにとっては十分にストラクチャーの役割を果たす。重要なことは、「ストラクチャー」の大きさや規模ではない。その環境の中で、連続性が途切れるところ。「連続性の中にある変化」だ。
たとえば、護岸された何の変化もない用水路。もし、そこに電柱の影があれば、それは十分な「ストラクチャー」に成りうる。もちろん、変化は大きいほどいいし、プラスの変化が複合していればなおいい。
ビッグバスほど、最高の場所を陣取るということも忘れてはならない。平面よりも立体的なほうがいい。高低差がないよりあったほうがいい。軟らかいより、硬いほうがいい。真ん中より、カドがいい。さらに、プラスの変化があったほうがいい。
プラスの変化とは、ブレイク+橋脚、岬プラス岩など。ただ、漠然とキャストするのではなく、ほんの少しの「変化」でも気をつけてみる。その心がけは、バスに出会える確率を間違いなく上げる。