適材適所のルアーセレクト

バス釣りは、効率性を追求するゲームであってルアーは、攻略すべきカバーや水深に応じてカテゴライズされている。このことが意味することは、ルアーのカテゴリーには得手不得手があり、そのルアーの能力を最大限に発揮する使い方があるということだ。よく間違えて理解されがちなルアーの代表としてスピナーベイトが挙げられる。その理由は明確で、スピナーベイトが、あらゆる場面で使える万能性を兼ね備えているからだともいえる。しかし、本来の場面を理解しておかなければ、ルアーの本領は発揮出来ない。

スピナーベイトのターゲットレンジは、バスが最も釣れると言われるプライムゾーンである1.5m〜2.5mである。そして、ブレードサイズは、ベイトサイズ、つまりアピールの度合いを示している。ブレードは回転してアピールするから、そこには浮力が生じる。その浮力をターゲットレンジに抑え込むのが、ヘッドウェイトの役割だ。だから、ブレードサイズが大きくなれば、ヘッドウェイトは重くなる。つまり、本来のヘッドウェイトの役割は、水深をを調整するためのものではない。ターゲットレンジにルアーを留めておくためのもので、より深いレンジを探るためのものではない。

だからといって、ディープレンジに使ってはいけないことはない。使おうと思えば、それは使える。しかし、本来のスピナーベイトの得意領域を理解しておけば、他に効率的に探れるルアーの選択肢が、まず頭に浮かぶ。スピナーベイトが何にでも使えるから、どこでも使うというのは、そういったルールや制限があるならば仕方ないが、そうではないならば、もっとベストな選択をしていくべきだ。

バス釣りというルアー釣りを、面白さという方向性で極めていくならば、この”効率性”を無視することは出来ない。ただ、釣れればいいのいうのならば、そこに効率性を求めないならば、エサ釣りをした方が早いし、よりエサ釣りに近い、ワームのライトリグ一辺倒でいいという選択になってしまう。ルアー釣りの歴史は永く、その長い歴史の中で、ルアーはカテゴライズされ、それは洗練されてきた。新しいルアーは次々と出て来るが、新しいカテゴライズが出てこないのは、これらのカテゴリーで完成されているということだともいえる。

なぜ、ルアーには、クランクベイトやミノー、スピナーベイト、ラバージグなどのカテゴリータイプが存在するのか、それにはどういった意図があるのか。戦略に対して、ルアーという戦術を考えるとき、そのことを忘れないようにしたい。

効率性のゲーム

バス釣りは、効率性を追求するゲームだと云われる。日本古来の釣りのスタイルである、餌を入れて待つというスタイルではなく、バスのいるエリア、場所を想定し、その場所を最も効率よく攻略できるルアーで積極的にアプローチする。そして、より短い時間で、よりよいサイズのバスを手にする。バス釣りとは、そういうゲームだ。そのために、水深とカバーを想定し、ルアーはカテゴライズされてきた。それぞれのルアータイプが、どういったカバーや状況を想定しいるかは、深く考えることなく知ることができる。

こうした話の対極として取り上げるのが、ライトリグだ。しかし、ライトリグを使うことは、決して効率性のゲームに反することではない。ライトリグは、手返しが悪く、広く探ることは出来ない。しかし、確実にそこにバスがいると確信出来る場合においては、最も効率的なメソッドであるといえるだろう。多くのバスプロたちは、試合前のプラクティスで広くバスを探り、試合当日には、そのバスをより確実に釣るためにライトリグを使っているといえる。その試合結果や釣り方だけを見れば、ライトリグが主流のように見えてしまう。これが、ライトリグ万能的な動きに繋がっているように感じる。

バスが何処にいるか解らない、ピスポットでその場所を特定出来ていないにも関わらず、ライトリグを投入して待ち続けるとしたら、それは所謂、”バス釣り”だと言えるだろうか。そこに効率性を追求するゲーム性は成立しているだろうか。そこに見えてくるのは、日本古来からある餌で寄せて釣る、”餌釣り”だと感じてしまうのは否めない。

バス釣りのゲーム性を成立させるには、まずバスがどういったエリアでどういった状態にあるのかを想定することから始まる。その仮説が、いきなり的を得ることは少なく、ルアーによる検証を繰り返しながら、エリアや場所を見切っていく。そう考えると、それは釣るためのアプローチでありながら、エリアを切り捨てるためのアプローチであるとも言える。フィールドの状況は、様々でエリアやカバーも様々だ。これをローラー作戦のごとく、しらみ潰しに行うことは現実的ではないし、そこに効率性もゲーム性もない。バスというサカナは、比較的その生態が明らかにされているからこそ、ゲームフィッシュとして成立している。その生態に沿った第一段階の絞り込みが、シーズナルパターンであり、セオリーだ。

当然ながら、シーズナルパターンやセオリーだけで、サカナは釣ることは出来ない。それは、効率性を高めるひとつの戦略のカギでしかない。実際に釣るには、戦術であるルアーやメソッドが重要になってくる。自分は、効率性を無視して、いつもの場所でいつもの方法を繰り返しているだけではないか?効率性を追求しているだろうか?効率性を追求するためには、どういったアプローチで、どう絞り込むべきだろうか?バス釣りの楽しみ方は、人それぞれだろうが、この効率性を追求するゲーム性を無視するのは、非常にもったいない話だ。簡単に釣ることを求めるならば、餌釣りをした方がいい。ルアーで、わざわざ釣りを難しくし、そこに面白さがなければ、ただの苦痛でしかない。

バス釣りの面白さを最大限にするための”効率性を追求するゲーム”というスタンス。そのスタンスを極めることにゴールはない。また、それが面白さに繋がっていく。だから、バス釣りはやめられない。

30以下は、バスに非ず

「30cm以下のバスは、バスに非ず」。これは、バス釣りを行う上で、自分の中に一つの重要なルールだ。これは、あくまでも個人的なルールであり、他人にも適用すべきものとは思っていない。30cm以下の小バスをバスと見做さない理由としては、自分にとってバス釣りとは何か?どういったゲームなのか?に起因している。

バス釣りがゲームフィッシングとして成立する理由は、バスの生態がある程度明らかにされており、シーズナルな動きを予測して戦略的に釣ることが出来るからだ。まぐれや偶然にしか期待できないならば、そこにゲーム性や競技性は存在し得ない。バス釣りとは、この「戦略的に釣る」ということに難しさや面白さがあるといえる。

しかし、湖にいる全てのバスが、同じ動きをするわけではない。特に、個体差による住み分けは、自然界において当たり前に起きていることだ。そして、力がの強い個体が、良い場所を陣取るのも自然の法則。ここにもう一つのルールやパターンが存在する。また、バスが一年を通じて常に考えていることがある。それは、子孫繁栄だ。冬場を越すために体力を付けるのも、深場で生命を維持することも、産卵に向けて、より多くの子孫を残すためだ。そのための行動も、また一つのパターンになり得る。

一方、30cm以下の個体は、いうなればまだ子供だ。産卵のための行動をすることはない。また、何よりも懸念されることは、興味が先行してしまうことだ。警戒心も薄く、ルアーに興味でバイトしてしまう。このことが意味することは、「簡単である」ということだ。ルアーには、状況に応じて使い分けるためのタイプがあり、適材適所で使い分ける必要がある。これも戦略を支える重要な戦術なのだが、小バスには、あまり関係ない。興味をそそれば向こうから寄ってくる。

バス釣りのルアーを、注意深く観察すれば分かることだが、ルアーは、攻略すべきカバーの種別に応じて存在していることが分かる。カバーに付いているサカナは、警戒心が薄く獲物を狙っているという基本的な考え方に立ち、如何にそのカバーを効率よく攻略するかが、ルアーのタイプを作り出している。

バスが、今どういった状況にあって、そのカバーをどのように攻略するかというスタンス無しに、ただバスが見つけてくれて寄ってきてくれるのを待つならば、餌釣りと変わらない。そこにゲーム性が存在するだろうかと感じてしまう。だから、30cm以下のバスは、初めから狙わない。もし、釣れてしまった場合は、住み分けの考え方から、そのエリアや戦術を変える基準として捉える。

いうなれば自分にとって価値があるのは、バスのサイズではない。如何に戦略的に、かつ適切な戦術で狙い通りにバスを釣るかということであり、偶然に釣れてしまった50cmよりも、戦略的、戦術的に釣った40cmの方が価値がある。クオリティフィッシュということだ。30cm以下のバスは、それ以上のクオリティフィッシュ探し出すカギの一つではあるが、ターゲットにはなり得ない。

こうしたスタンスは、ある意味でバクチである。ボウズになることも多分にある。しかし、幸い青野ダムというメジャーフィールドで、いい確率でクオリティフィッシュを釣ることができている。何を釣るかではなく、どう釣るか。バス釣りの面白さを実感するために、突き詰めていきたいテーマである。

【青野ダム】メタルジグで51cm

クリスマス3連休の初日。12月にしては比較的暖かい日が続いていた。しかし、前回の釣行から、およそ1ヶ月。青野ダムは、水温も10℃を示し、いよいよ冬の装いを呈していた。ワカサギ釣りの人達が湖に出たあと、9時を過ぎての出廷となった。基本的には、10mレンジを軸に、その前後を探り、状況を見てシャローレンジをチェックする基本戦略を立てる。冬といえば、水深があってワカサギが集まりやすい下流域のダムサイトが定番ではある。しかし、前回までに調子の良かった上流域のハンプも一応チェックしておきたい。そこはないと思ってはいるものの、実際に確認しておかなければ、明確に切り捨てることができないと感じていた。朝一にチェックして、切り捨てるなら切り捨てる。その思いで上流部に向かう。クオリティフィッシュを連発するチャンネルに絡むハンプエリア。ベイトの反応は、あまり良くない。その後、ラバージグでスローにチェックした後、メタルジグで直撃してみるものの反応はない。あまり時間を費やすことなく、見極めて下流域に向かった。

ダムサイトまで降りてくると、やはりベイトの反応がいい。あとは、レンジの見極めだ。1/2ozのメタルジグを8mレンジから徐々にレンジを落としてチェックしていく。すると10mレンジでニゴイがヒットする。魚探の反応もやはり10mレンジに出ている。10mになると、そこにはもはや光は届いていない。それは、視覚による認識を奪い、水流の動きが中心になる。故に、ラバージグではやはり弱い。ワームとなると、もってのほか。これだけ本物のワカサギがいる中で、ワカサギライクに見せることの意味は、ほとんどない。メタルジグやバイブレーションなどのリアクション。ディープはこの2パターンの戦術に絞る。エリアを探るにはバイブレーションをキャストしてボトムまで落としてリフト&フォール。スポットをバーチカルに攻めるなら、メタルジグを入れていく。しかし、バスからの反応はなかった。

午後に近づくと風が強まってきた。橋の掛かる風裏部分には、いい感じにシャローカバーがある。もしかすると上がっている可能性があるかもしれない。スピナーベイトをシャローレンジからリフト&フォールで落とし、カバーの奥はラバージグを入れていく。しかし、ここでも反応はなかった。ベイトの反応は10m。バスは、その下の12m付近か。まずは、それより深いレンジをチェックする。15mより深いエリアをチェックしていくが、反応はない。ここで、10mより浅いレンジは、シャローのみ。13mより深いエリアは切り捨てるという方針とする。

途中、雨が降り出し風はますます強くなっていった。もう一度風裏となる橋のあるエリアに避難しシャローレンジをチェックする。それから、ダムサイトに向けて、10m〜13mのレンジをチェックしていく。すると12m付近にいい感じの魚影が映る。バスそのものというより、ボトム付近にちょろちょろ映るあれだ。僅かではあるが、ボトムの変化も絡んでいそうだ。すかさず、メタルジグをバーチカルに落としていく。しゃくり上げて落とすを繰り返していると、グッと重くなる。根掛かりか?と感じたが、巻けば上がってくる。木の枝か何かを引っ掛けたか。その感覚で巻き上げていく。すると突然、魚体が見えた。でかい!すかさずネットを手にして、その中に収めた。バスは一度も抵抗することなく、ネットの中に収まった。それは、51cmのグッドコンディションのバスだった。50クラスが出るならシャローと踏んでいたが、まさかのディープエリアだった。

サカナだと気づけば、ゆっくりと上げていたが、木の枝かと思っていたため、早く上げ過ぎた。近くにいたボートの人の助けを借りて、エア抜き等の処置を施し、ルアー回収器を使い、ディープエリアに返すことができた。釣り納めとしては、申し分ないサイズが出た。また、冬の定番ともいえるメタルジグで釣ったこともいい。

「30cm以下は、バスに非ず」。この基本方針に従って、クオリティフィッシュに狙いを定めた1年。釣行回数は少なかったが、比較的いいペースでクオリティフィッシュを釣り上げられた。ルアーもシーズナル、かつ状況に応じて色々と使い実績を上げたことも大きい。青野ダムは、決して簡単なフィールドではないが、奥深さと面白さを秘めたフィールドであることに間違いはない。メジャーでタフだからといって、ライトリグ一辺倒になる必要がないことを、改めて実感できた1年だった。来年も、青野ダムを満喫していきたいと感じ、納竿した。

ロッド: ロードランナー LTT650M
リール: メタニウムHG
ルアー: ラバージグ TOROS CUSTOM TC-METAL 1/2oz

TC-JIG/Football

ラバージグは、ジグヘッドにラバーが付いているといった、非常にシンプルなルアーだ。このタイプのルアーのこだわりどころは、主に3点。アイ、フック、ラバーだ。TOROS CUSTOMのTC-JIG/Footballは、角度が60度のフラットアイを採用している。このアイの特徴は、引っ張られるチカラに対して、フックが起きにくいという点がある。フックが起きにくいという事は、カバーに対してもすり抜けやすくなる。TC-JIGは、ガードが付いているから、対カバー性能にも優れている。オープンエリアで、フックセット優先で考えるならば、ガードを外してしまえばいい。また、このアイ形状であることのメリットは、何よりトレーラーを含めたアクションが、より自然になることにもある。ベイトフィッシュが絡むようなハンプエリアでの、ボトムからのスイミングでは、関西メジャーレイクの青野ダムでも、クオリティフィッシュの実績が十分にある。

ラバージグは、フックとウェイトの間に遊びがない。このことが、エラ洗いなどでフックアウトしやすく、バレる要因となる。ガードがあれば、ガード部がロックしてくれるため、その可能性は軽減できるが、ガードがなければそのリスクは高くなる。TC-JIG/Footballのフック形状は、フック先端部がクランクしており、その部分がロックの機能を果たしてくれる。ガードを外した利用を想定したフックアウト対策が施されている。一度フックセットしてしまえば、エラ洗いなどで、フックアウトした経験は今の所ない。また、ラバージグを扱うロッドパワーを考えれば、軸の強さも必要だ。TC-JIG/Footballは、そのバランスにも優れている。

ラバーに関して言えば、主にシリコン系とラバー系がある。シリコン系は、自発的な広がりを見せることに対しても、ラバー系は浮力による広がりを見せる。水に対して、その反応が異なることが主な特徴として挙げられる。ラバージグは、そもそも何かのベイトを模していると考えるよりも、ラバージグそのものがバスにアピールすると考えられる。ネコに対するネコジャラシのようなイメージだろうか。その曖昧さや不確実さが、バスの本能をくすぐる。TC-JIGのラバーは、シリコン系とラバー系のコンポジットになっており、その反応に一定のものがない。それが、ジグを止めたときの動きに現れると考えられる。ラバーは、ラバーバンドで止められているが、これにはスイッチできるというメリットの他に、広がりやすさを重視することもできる。極太系のラバーなど強さ次第では、ゴムバンドでは弱い場合があるが、通常のラバーであればラバーバンドで十分。手に取ったときのスタイルの良さよりも、ラバージグ本来の魅せ方を選択した結果だと言える。

ラバージグ自体、もともと強すぎるルアーではない。自ら企画製作した立場で僭越ではあるが、休日のメジャーレイクで、クオリティフィッシュの数々をキャッチしてきた実績が証明するように、ライトリグに傾倒する前に、是非とも投入してほしいルアーだといえる。

RC2.5

ラッキークラフトのRCシリーズは、あのリック・クランが監修を務め、アメリカB.A.S.S.のウイニングルアーにもなったことから、クランクベイトの一つのジャンルを構築したと言えるルアーだ。中でも2.5というサイズは、小さ過ぎず大き過ぎずの絶妙のサイズ感だ。基本的には、シャローレンジやウィードエリアをターゲットとしているが、ダム湖におけるガレ場では存分にそのチカラを発揮する。

ガレ場の岸ギリギリにキャストしグリグリ巻けば、バスが湧いてくる。ガレ場をランガンするつもりでテンポよくトレースする。流れ込みや変化、カバーが絡まないなら、マズメ時などに集中して攻めると良い。休日のダム湖であっても、サカナを引っ張って来てくれることからも、RC2.5のサカナは、ワームをキャストしていては決して獲れないサカナだと言える。ノンラトルでありながら、ハイアピールであるところも効くのだろう。

ボートが列を成して流している状況にあっても釣れた実績もあるから、とにかくガレ場があれば投げてみる。それくらい信頼しているルアーだ。RCシリーズは、すでに廃盤となっているが、LCシリーズ、RTOシリーズに、その系譜は引き継がれている。バスが最も釣れるとされる2mレンジを攻略するルアーとしては、決して外すことの出来ないルアーだ。

【青野ダム】晩秋もラバージグ

11月も末。いよいよ秋も終わりを告げ、冬がそこまで来ているといった感じの青野ダム。魚探の水温計は14℃を示しており、決して冬といった水温ではないが、バスの適水温は、大きく下回って来た。体力のある個体は、まだまだ捕食意欲があるだろうが、30cmクラスのアベレージサイズ以下は、徐々に活性を落としていく。それ故に、難しくなる傾向にあるが、逆に狙いをクオリティフィッシュに定めるべきと、割り切れる部分もある。

基本は、リアンクションベースで考える。5m〜8mをターゲットレンジとして捉え、午後の安定する時間帯は、シャローレンジもチェックするという基本的な戦略を立てる。用意したリグは、メタルジグ、ラバージグ、スピナーベイト。いつもの通り、スピニング、ライトリグはない。この時期は、何と言ってもベイト。ベイトがたまりやすいハンプやフラットをチェックし、ベイトが良さげならば、バスはいる。青野ダムは、地形先行型のフィールドだから、まずは地形ありきになるが、この時期はいくら地形が良くてもベイトがいなければ、意味がない。ボディーウォーターに絡むハンプやフラットなどの変化をチェックしながら、上流部へ向かう。

第二ダムの入口や加茂山第二公演前をチェックするも、ベイト色が乏しい。また、ディープが寄っているシャローレンジをスピナーベイトでチェックするが、反応はなかった。島周りから上のエリアには、ベイトがいい感じに映る。この辺りが良さげだとアタリをつける。まずは、ハンプをメタルジグで直撃する。5mから8mまでをボートで流しながら、チェックしていく。

暫くすると、ニゴイがヒットする。生命感はあるらしい。そのまま継続していると、6m付近でバスがヒット。しかし、コンディションは良かったが、30cmクラスのバスだった。その後、反応は遠のいていく。途中、他のボートでもヒットしているのを見たが、やはり30cmクラス。レンジが違うのか、攻め方が違うのか。それを決めかねつつ、午後からは下流へのエリアを移す。

第二ダム付近まで降りてくるが、何かやはりパッとしない。自分への迷いを消すため、リグはメタルジグとスピナーベイトに絞ったが、反応は薄い。時刻は14時を回った。やはり、午前のエリアが雰囲気がいい。最後にもう一度チェックしてみようと上がる。丁度、風が吹き始め、ハンプの上に乗っかるようにベイトが映る。これだよ、これ。メタルジグではサイズが出ないと判断し、ラバージグをもう一度結ぶ。ベイトに付いて中層に浮いていることを想定し、ウェイトは1/4ozに落とし、トレーラーは相変わらずのジャンボグラブをセット。ハンプに乗せるようにキャストしてボトムまで落とす。

ジグがボトムに落ちたかどうかというタイミングでバイトが出る。グンッグンッと引いた後、生命感が無くなる。バレた。痛恨のバラシ。しまったと呆然としていると、すぐにまたバイトが出る。また食って来た!すかさずフックセットに持ち込む。上がって来たのは、46cm、1200kgオーバーのグッドコンディションのバス。狙っていたのはこれだ。

バスをリリースした後、またハンプに乗せるとバイトが出る。また来た!と感じたものの、また離してしまう。追い食いするかもと、そのままにしておいたが、バイトが出ることはなかった。その後、メタルジグやスピナーベイトなどを入れていくが、バイトが出ることはなかった。ベイトと風といったタイミングがあったせいか、状態のいいバスがいた。水温が下がって来たとはいえ、まだまだ食い気十分の状態だと実感できた。

アングラーは、自分の体感からフィールドコンディションを過小評価しすぎる傾向にある。そして、アプローチがライトリグなどスローで小さくなりがちだ。しかし、状態のいいバスは何処かにいる。そのことを忘れてはいけないし、やはりそういったバスを狙っていきたい。青野ダムでのラバージグは、まだまだこれからといった感じだ。

ロッド: ロードランナー ST700H
リール: メタニウムHG
ルアー: ラバージグ TOROS CUSTOM TC-JIG/Football + ジャンボグラブ

ズーム・リザード

ワシントン州からオレゴン州にまたがり流れるコロンビアリバーで行われたB.A.S.S.ウェンスタン・インビテーショナル。その川は、川とはいえ川幅は琵琶湖南湖ほどで、スモールマウスを主体とした、下流にある水門の開閉に伴い流れが発生するタイダルリバー。まだ、日本からの参戦が今ほどメジャーではない頃、単身単独で乗り込んだが、プラを行う術もなく、たまたま声をかけたスキート・リースの助けを借りて、何とかプラに同船させてもらえる人を得た。釣行を終えた後の夕食時、彼は「グリーンパンプキンのリザードをもっているか?」と訊いた。リザードは、日本では全くメジャーではなく、当然ながら私は持っていない。彼は、必ず必要になるから、後でやるといったが、彼の奥さんの合流やらで有耶無耶に別れた。

いざトーナメントが始まると、初日の同船者もやはり、グリーンパンプキンのリザード。それを、スピニングロッドに、1/4ozのキャロライナリグでセットし、シャローフラットに乗せ、ブレイクで流れに乗せる。彼には何度かヒットしたが、自分にはヒットしなかった。その日の夜、モーテルのオーナーに釣具店を聞き、慣れない夜のフリーウェイを飛ばして買いにいった。

3日間のトーナメント期間中、同船者はすべて同じリグだった。なぜ、リザードのキャロなのか。その答えは、まさにその形状にあった。リザードが持つ手足。それが、流れを受けると両翼の役割を果たし、浮き上がりやすくする。また、ジャークすると浮き上がるような動きをする。タイダルリバーであるコロンビアリバーでは、キャロで固定し流れに乗せることでルアーを漂わせることができる。それが、ナーバスなスモールマウスに効く。

リザードといえば、イモリかトカゲか。日本では、それはメインベイトではないと一蹴してしまうかもしれない。しかし、リザードは、リザードとして使うのではない。あくまでもよりベイトフィッシュらしさを演出できるベイトフィッシュライクなルアーとして使う。手足が水流を受けやすいことから、わずかな水流でも浮き上がりやすくなる。流れがあるところはもちろん、キャロをジャークすることで、イレギュラーな動きも演出できる。低活性なバスには、魅力的に映るに違いない。リザードは、リザードにあらず。低活性なバスへのフィネスアプローチには、欠かせないルアーのひとつだ。

ジャンボグラブ

ゲーリーヤマモトの6インチシングルテールグラブ。通称ジャンボグラブ。このルアーには、絶大なる信頼を寄せている。それは、どういうことかといえば、サカナがいれば必ずと言っていいほど、口を使ってくれると”信じている”。その集魚力とサイズを選んでくれるサイズ感。それが、大きな魅力であり、絶大なる信頼の根拠となっている。

4インチや3インチクラスのライトリグに慣れてしまっているなら、ジャンボグラブは、とても大きいルアーに感じるかもしれない。しかし、それは大きな勘違いだ。確かに口の小さい小バスは、バイトはすれど乗ることはない。それを惜しいと感じるならば、オススメはしないが、それなりのクオリティフィッシュを狙っているならば、大きな問題にはならないし、むしろ歓迎する点であるともいえる。

ジャンボグラブは、6インチといえども、テール部を伸ばした状態をいうから、実際のボディーサイズに着目すれば、それは3インチクラス、ワカサギサイズにマッチするサイズ感になる。にもかかわらず、その重量感から操作性も増すことに加えサイズ感以上の存在感があり、そしてそれは水押しのアピールにも繋がっている。

つまり、ジャンボグラブは、ライトリグのサイズ感に、ビッグサイズのアピールを付加したルアーだといえる。実際にメジャーレイクでライトリグで攻められたあと、ジャンボグラブでグッドサイズが出ることは珍しくないし、サイズを選べることから、釣れるサカナは大抵において平均サイズ以上になる。個人的価値観においては、30cm以下はバスではない。

また、バスというサカナは、個体差に基づいて棲み分けをすると考えている。故に、30cm以下のレンジには、基本的には40cm以上はいない。この考え方に立って考えても、クオリティフィッシュを狙うならば、そもそも狙い所も異なってくる。そういったスタンスの中で、困った時のライトリグ的な存在がジャンボグラブだ。

リグは、テキサスリグが相性がいい。ウェイトは、水深や風などによる操作性に鑑みて選べばいい。シャローカバーだけではなく、ブレイクや岬などの変化を丁寧に探っていくにも適している。バスがいれば必ず口を使う。その信頼感が、その日の戦略の組み立てに貢献する度合いは大きい。困った時のジャンボグラブ。必ずボートデッキに置いておきたいルアーのひとつだ。

ロングA 15A

ボーマーといえば、モデルAを筆頭にAシリーズを輩出したアメリカを代表するルアーブランドだ。日本の所謂、”リアル”で”キレイ”なルアーに対して、単調な色彩パターンが多く、そのせいかあまり人気がないのも事実。しかし、その実力は使ったものにしか解らない。まさにルアーがルアーたる所以を体感させてくれるルアーであるといえる。

モデルAがクランクベイトであることに対して、ロングAは、ジャークミノーのジャンルに位置付けられる。ロングAシリーズは、14A、15Aなど大きさの違いとビルの大きさの違い、またサスペンド仕様やプロモデル仕様などのバージョンもある。中でも、15Aのフローティングタイプは、逸品であることに間違いはない。それは、関西のメジャーレイクであってハイプレッシャーであると云われている青野ダムでも実証された。アフタースポーニングの時期に岸際にキャストし、ジャークを加えると魚体がヒラを打つのが見えた。しかし、バイトミスによりフックセットしなかった。そこで、再度同じところにキャストしたところ、待ってましたとばかりにジャークの瞬間にルアーは引き込まれた。余裕の50アップだった。

フローティングである故のキレと水押しのチカラ、レスポンスの良さ、その単調なカラーリングも実はキチンと考えられたものであることが判る。使っていて楽しい、そして確実にサカナを魅了するチカラを持ったルアーだといえる。しかし、ここまで押しながらも、ロングAも完璧ではない。購入時には、まずフックは交換するべきだ。ジャークベイトというのは、ジャークした瞬間にルアーが横を向く。その背中側をサカナがバイトするということがある。そのとき、触れただけでも引っかかるほど研ぎ澄まされたフックでなければ、フックセットしない。実際に、青野ダムの一匹は、確実にバイトの瞬間が見えたが、ふっくは口の外側に掛かっていた。それは、まさに背中側にバイトしフックが外側に掛かったということだ。おそらく、フックが鈍っていては獲れなかった一匹だろう。

ボーマールアーが、長年多くのアングラーに支持され続けていることは、決して伊達ではない。中でも、ロングAの15Aフローティングタイプは、タックルボックスから決して外すことが出来ないルアーのひとつだ。