何をするにしても、もっとも力を要するのは、ゼロをイチにするということだろう。自動車や自転車でも、走り始めはローギアで力がいる。新しい職場でも、初日というのは何かと体力を消耗する。
物事を動かす力には、慣性の法則が働くというが、人間における行動においても同じと見て良いだろう。動き始めれば、その力は維持されようとする。つまり、動き始めれば、逆に力を使わない。
いくつもの会社を経営している人たちがいるが、そうした人たちは、想像するより力を使っていない。軌道に乗った会社を3つ経営することよりも、初めての会社をひとつ立ち上げることの方が力がいる。とにかく、ゼロをイチにすることが大変なのだ。
それは、釣りにおいても同じこと。どんな小さな一匹だったとしても、ゼロとイチは違う。イチとニの差は、運の差が有るかもしれないが、ゼロとイチとの間には、それ以上の差があるかもしれない。もし、自分がゼロならば、運が悪いと片付けることもできる。
しかし、運と片付けず、スタンスを変えるという方法がある。悩む必要や自己嫌悪に陥る必要は、全くない。ただ、ゼロをイチにするための力をかける覚悟をする。それは、決して楽ではないことを覚悟することで、思い切ってスタンスややり方を変更できる。
今苦しいときならば、イチにもう手に届くかもしれない。自分だけが特別なわけではない。そういうものなのだ。