風は、草木や水面を動かすが、その姿は見えない。太陽の光も、目には見えないが、その光が、生き物に与える影響は大きい。自然に触れ合うということは、そうした目には見えないものの存在を教えてくれる。
異なる個体や生物の動きが、他の個体の行動を促すきっかけとなる。そうした関連性が、自然界を形作っている。別の言い方をするならば、あらゆる固体は、他を頼って生きている。
物質的なものばかりではなく、思いや感情、意思によって助けられている。そのことを考えたとき、誰かの助けを得ることは、何も恥ずかしいことではないことに気付く。自分ひとりでなすことに、拘る必要はない。
そう思っていても、必ず誰かの助けを得ているもの。仏教では、このことを冥利、冥加というらしい。人は知らず知らずのうちに、多くの恩恵を受けている。そのことに感謝し、受け入れることが自然。
頑なになっているならば、自然の中に立てば良い。風や草木や太陽の光があることを感じるだけで、自然の懐の深さを感じることができる。少し、疲れたなと感じたら、自然の中に出てみる。
何も考えなくてもいいし、何かを感じようとしなくてもいい。そうした時間を持つことが、答えになることは少なくない。