TC-JIG/Football

ラバージグは、ジグヘッドにラバーが付いているといった、非常にシンプルなルアーだ。このタイプのルアーのこだわりどころは、主に3点。アイ、フック、ラバーだ。TOROS CUSTOMのTC-JIG/Footballは、角度が60度のフラットアイを採用している。このアイの特徴は、引っ張られるチカラに対して、フックが起きにくいという点がある。フックが起きにくいという事は、カバーに対してもすり抜けやすくなる。TC-JIGは、ガードが付いているから、対カバー性能にも優れている。オープンエリアで、フックセット優先で考えるならば、ガードを外してしまえばいい。また、このアイ形状であることのメリットは、何よりトレーラーを含めたアクションが、より自然になることにもある。ベイトフィッシュが絡むようなハンプエリアでの、ボトムからのスイミングでは、関西メジャーレイクの青野ダムでも、クオリティフィッシュの実績が十分にある。

ラバージグは、フックとウェイトの間に遊びがない。このことが、エラ洗いなどでフックアウトしやすく、バレる要因となる。ガードがあれば、ガード部がロックしてくれるため、その可能性は軽減できるが、ガードがなければそのリスクは高くなる。TC-JIG/Footballのフック形状は、フック先端部がクランクしており、その部分がロックの機能を果たしてくれる。ガードを外した利用を想定したフックアウト対策が施されている。一度フックセットしてしまえば、エラ洗いなどで、フックアウトした経験は今の所ない。また、ラバージグを扱うロッドパワーを考えれば、軸の強さも必要だ。TC-JIG/Footballは、そのバランスにも優れている。

ラバーに関して言えば、主にシリコン系とラバー系がある。シリコン系は、自発的な広がりを見せることに対しても、ラバー系は浮力による広がりを見せる。水に対して、その反応が異なることが主な特徴として挙げられる。ラバージグは、そもそも何かのベイトを模していると考えるよりも、ラバージグそのものがバスにアピールすると考えられる。ネコに対するネコジャラシのようなイメージだろうか。その曖昧さや不確実さが、バスの本能をくすぐる。TC-JIGのラバーは、シリコン系とラバー系のコンポジットになっており、その反応に一定のものがない。それが、ジグを止めたときの動きに現れると考えられる。ラバーは、ラバーバンドで止められているが、これにはスイッチできるというメリットの他に、広がりやすさを重視することもできる。極太系のラバーなど強さ次第では、ゴムバンドでは弱い場合があるが、通常のラバーであればラバーバンドで十分。手に取ったときのスタイルの良さよりも、ラバージグ本来の魅せ方を選択した結果だと言える。

ラバージグ自体、もともと強すぎるルアーではない。自ら企画製作した立場で僭越ではあるが、休日のメジャーレイクで、クオリティフィッシュの数々をキャッチしてきた実績が証明するように、ライトリグに傾倒する前に、是非とも投入してほしいルアーだといえる。

RC2.5

ラッキークラフトのRCシリーズは、あのリック・クランが監修を務め、アメリカB.A.S.S.のウイニングルアーにもなったことから、クランクベイトの一つのジャンルを構築したと言えるルアーだ。中でも2.5というサイズは、小さ過ぎず大き過ぎずの絶妙のサイズ感だ。基本的には、シャローレンジやウィードエリアをターゲットとしているが、ダム湖におけるガレ場では存分にそのチカラを発揮する。

ガレ場の岸ギリギリにキャストしグリグリ巻けば、バスが湧いてくる。ガレ場をランガンするつもりでテンポよくトレースする。流れ込みや変化、カバーが絡まないなら、マズメ時などに集中して攻めると良い。休日のダム湖であっても、サカナを引っ張って来てくれることからも、RC2.5のサカナは、ワームをキャストしていては決して獲れないサカナだと言える。ノンラトルでありながら、ハイアピールであるところも効くのだろう。

ボートが列を成して流している状況にあっても釣れた実績もあるから、とにかくガレ場があれば投げてみる。それくらい信頼しているルアーだ。RCシリーズは、すでに廃盤となっているが、LCシリーズ、RTOシリーズに、その系譜は引き継がれている。バスが最も釣れるとされる2mレンジを攻略するルアーとしては、決して外すことの出来ないルアーだ。

ズーム・リザード

ワシントン州からオレゴン州にまたがり流れるコロンビアリバーで行われたB.A.S.S.ウェンスタン・インビテーショナル。その川は、川とはいえ川幅は琵琶湖南湖ほどで、スモールマウスを主体とした、下流にある水門の開閉に伴い流れが発生するタイダルリバー。まだ、日本からの参戦が今ほどメジャーではない頃、単身単独で乗り込んだが、プラを行う術もなく、たまたま声をかけたスキート・リースの助けを借りて、何とかプラに同船させてもらえる人を得た。釣行を終えた後の夕食時、彼は「グリーンパンプキンのリザードをもっているか?」と訊いた。リザードは、日本では全くメジャーではなく、当然ながら私は持っていない。彼は、必ず必要になるから、後でやるといったが、彼の奥さんの合流やらで有耶無耶に別れた。

いざトーナメントが始まると、初日の同船者もやはり、グリーンパンプキンのリザード。それを、スピニングロッドに、1/4ozのキャロライナリグでセットし、シャローフラットに乗せ、ブレイクで流れに乗せる。彼には何度かヒットしたが、自分にはヒットしなかった。その日の夜、モーテルのオーナーに釣具店を聞き、慣れない夜のフリーウェイを飛ばして買いにいった。

3日間のトーナメント期間中、同船者はすべて同じリグだった。なぜ、リザードのキャロなのか。その答えは、まさにその形状にあった。リザードが持つ手足。それが、流れを受けると両翼の役割を果たし、浮き上がりやすくする。また、ジャークすると浮き上がるような動きをする。タイダルリバーであるコロンビアリバーでは、キャロで固定し流れに乗せることでルアーを漂わせることができる。それが、ナーバスなスモールマウスに効く。

リザードといえば、イモリかトカゲか。日本では、それはメインベイトではないと一蹴してしまうかもしれない。しかし、リザードは、リザードとして使うのではない。あくまでもよりベイトフィッシュらしさを演出できるベイトフィッシュライクなルアーとして使う。手足が水流を受けやすいことから、わずかな水流でも浮き上がりやすくなる。流れがあるところはもちろん、キャロをジャークすることで、イレギュラーな動きも演出できる。低活性なバスには、魅力的に映るに違いない。リザードは、リザードにあらず。低活性なバスへのフィネスアプローチには、欠かせないルアーのひとつだ。

ジャンボグラブ

ゲーリーヤマモトの6インチシングルテールグラブ。通称ジャンボグラブ。このルアーには、絶大なる信頼を寄せている。それは、どういうことかといえば、サカナがいれば必ずと言っていいほど、口を使ってくれると”信じている”。その集魚力とサイズを選んでくれるサイズ感。それが、大きな魅力であり、絶大なる信頼の根拠となっている。

4インチや3インチクラスのライトリグに慣れてしまっているなら、ジャンボグラブは、とても大きいルアーに感じるかもしれない。しかし、それは大きな勘違いだ。確かに口の小さい小バスは、バイトはすれど乗ることはない。それを惜しいと感じるならば、オススメはしないが、それなりのクオリティフィッシュを狙っているならば、大きな問題にはならないし、むしろ歓迎する点であるともいえる。

ジャンボグラブは、6インチといえども、テール部を伸ばした状態をいうから、実際のボディーサイズに着目すれば、それは3インチクラス、ワカサギサイズにマッチするサイズ感になる。にもかかわらず、その重量感から操作性も増すことに加えサイズ感以上の存在感があり、そしてそれは水押しのアピールにも繋がっている。

つまり、ジャンボグラブは、ライトリグのサイズ感に、ビッグサイズのアピールを付加したルアーだといえる。実際にメジャーレイクでライトリグで攻められたあと、ジャンボグラブでグッドサイズが出ることは珍しくないし、サイズを選べることから、釣れるサカナは大抵において平均サイズ以上になる。個人的価値観においては、30cm以下はバスではない。

また、バスというサカナは、個体差に基づいて棲み分けをすると考えている。故に、30cm以下のレンジには、基本的には40cm以上はいない。この考え方に立って考えても、クオリティフィッシュを狙うならば、そもそも狙い所も異なってくる。そういったスタンスの中で、困った時のライトリグ的な存在がジャンボグラブだ。

リグは、テキサスリグが相性がいい。ウェイトは、水深や風などによる操作性に鑑みて選べばいい。シャローカバーだけではなく、ブレイクや岬などの変化を丁寧に探っていくにも適している。バスがいれば必ず口を使う。その信頼感が、その日の戦略の組み立てに貢献する度合いは大きい。困った時のジャンボグラブ。必ずボートデッキに置いておきたいルアーのひとつだ。

ロングA 15A

ボーマーといえば、モデルAを筆頭にAシリーズを輩出したアメリカを代表するルアーブランドだ。日本の所謂、”リアル”で”キレイ”なルアーに対して、単調な色彩パターンが多く、そのせいかあまり人気がないのも事実。しかし、その実力は使ったものにしか解らない。まさにルアーがルアーたる所以を体感させてくれるルアーであるといえる。

モデルAがクランクベイトであることに対して、ロングAは、ジャークミノーのジャンルに位置付けられる。ロングAシリーズは、14A、15Aなど大きさの違いとビルの大きさの違い、またサスペンド仕様やプロモデル仕様などのバージョンもある。中でも、15Aのフローティングタイプは、逸品であることに間違いはない。それは、関西のメジャーレイクであってハイプレッシャーであると云われている青野ダムでも実証された。アフタースポーニングの時期に岸際にキャストし、ジャークを加えると魚体がヒラを打つのが見えた。しかし、バイトミスによりフックセットしなかった。そこで、再度同じところにキャストしたところ、待ってましたとばかりにジャークの瞬間にルアーは引き込まれた。余裕の50アップだった。

フローティングである故のキレと水押しのチカラ、レスポンスの良さ、その単調なカラーリングも実はキチンと考えられたものであることが判る。使っていて楽しい、そして確実にサカナを魅了するチカラを持ったルアーだといえる。しかし、ここまで押しながらも、ロングAも完璧ではない。購入時には、まずフックは交換するべきだ。ジャークベイトというのは、ジャークした瞬間にルアーが横を向く。その背中側をサカナがバイトするということがある。そのとき、触れただけでも引っかかるほど研ぎ澄まされたフックでなければ、フックセットしない。実際に、青野ダムの一匹は、確実にバイトの瞬間が見えたが、ふっくは口の外側に掛かっていた。それは、まさに背中側にバイトしフックが外側に掛かったということだ。おそらく、フックが鈍っていては獲れなかった一匹だろう。

ボーマールアーが、長年多くのアングラーに支持され続けていることは、決して伊達ではない。中でも、ロングAの15Aフローティングタイプは、タックルボックスから決して外すことが出来ないルアーのひとつだ。

ベビーシャッド75F

ベビーシャッドといえば、発売当時に一世を風靡したルアー。野池のベイトを模倣したサイズ感ながらも、きっちりとした性能から、その後の他メーカーからの類似商品の発売が絶えない。ベビーシャッドといえば、サスペンドタイプで季節は春というのが定番かもしれない。しかし、出番は決してそれだけではない。

使う季節は、秋。バスがベイトを積極的に追う季節だ。この季節にクランクベイトのように使う。だから、サスペンドタイプではなく、フローティングタイプを選ぶ。また、サイズは75。このベビーシャッドの75Fというサイズが、ダム湖の秋のベイトサイズに対して小さすぎず丁度良く、使い勝手がいい。

基本的な使い方は、岬や流れ込みにキャストし着水と同時に一気に巻き上げる。流れ込みであれば、まさに水が流れ込んでいるところにキャストするといい。ベビーシャッドの特徴としては、水平姿勢を保ちながら潜って行くところ。その自然なフォルムと軌道が、ベイトを待ち伏せしているバスに効く。また、リップ形状がカバーに強い。岩や木などの障害物を上手く交わしてくれるから、思い切ってグリグリ巻けばいい。

ベビーシャッドといえば、春のサスペンドが定番かもしれないが、自分にとっては、今や秋の定番であり、フローティングの75こそが、ベビーシャッドである。